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私の知人に、もう旦那さんと4年間話しをしていない、という人がいます。


私がカウンセラーとしている、というのを知っていて「ちょっと聞いてくれない?」と話を振ってきました。


彼女には今回のこの話し、ブログに書いて良い?と聞くと、「読ませてくれるならいいよ」と了承を得ました。本人に読んでいただき、了承を得た上で、本人とはわからないように変更を加えて掲載しています。


Nさんの場合

一緒に暮らしているのだけれども、食事は別。

夫のご飯も作るし、夫の分の洗濯も掃除もするけれども、極力一緒の空間に居ないようにする。

リビングで旦那さんの気配がしていると、自分の部屋に引き篭もります。


子供が巣立った今では、二人の間にはほとんど会話もなく。子供の近況とか、家の修理とか、犬の病気のことなど必要最低限のことは、LINEでやり取りするのだそうです。


いわゆる家庭内別居状態でした。


「旦那に興味がないから」と彼女はいうのです。


「旦那が何をしていようと、私には関係ないし興味もないから」

「もう5日は旦那の姿を見ていないわ」


まったくもって冷め切ってしまった夫婦、のように見えます。


でも、でも、「興味がない」とわざわざ私に宣言するなんて、ちょっとあやしいな…と思うわけです。

私がカウンセラーって知ってて話してくる彼女。これは、もうちょっと聞いてみるか。


私はNさんが、何か現状を打開するためのヒントが欲しくて私に夫婦の事を話しているのだろうな、と判断して詳しく聞いていくことにしました。


実は、このご夫婦には、口を聞かなくなったきっかけがありました。


旦那さんのお母さんがご病気になった時のこと。

高齢だったお母さんの介護の問題で、旦那さんの親戚と彼女は揉めたそうなんですね。


旦那さんは長男だから、面倒を見るべきだけど、今一緒に住んでいるのは次男夫婦だから、とかなんとかで、彼女と婚家側の親戚が揉めたそうなんです。


その時、彼女は必死で旦那さんに助けを求めました。「どうにかしてよ、あなたの親族でしょう?」


けれども、旦那さんの返答はこう。


「そんなこと言われても、俺には何にもできない」


その答えを聞いて、彼女は心底ガッカリして、「この人にはなにも頼るまい」と心に誓ったそうです。「頼ろうとした自分が馬鹿だった」とも思いました。それ以来、旦那さんに話しかけるのもやめた、とのことでした。


「だから今は旦那には何の興味も関心もないよ」


彼女はそう言います。



傷ついた心に気づく 

私はこの話しを聞いてみて、当時の彼女のとても傷ついた心を思いました。彼女はこんなの普通よ、みたいな感じで平気ぶっているけれど。


それはすごく悲しい体験だったんじゃないかと思います。


あの時、困り果てた彼女は一生懸命考えて、旦那さんに助けを求めたんだと思います。

でも、彼女が欲しかった答えを旦那さんからは聞けなかった。


助けて、と言った時に、思ったように助けてもらえなかったから、彼女は旦那さんから見捨てられるように感じたのかもしれません。とても傷ついたんですよね。


だから、傷ついた自分を否認しているんです。傷ついた自分を無かったことにしているのかもしれないと思いました。


本来なら、旦那さんは彼女にとって一番助けて欲しかった人のはず。


でも彼に助けてもらう事は叶わなかった、と彼女は感じたのでしょう。だから、頼った弱い自分を責めて、それ以来もう傷つかないように、そう思って「夫には頼らない」と決めたのです。


だけどそれ以来、旦那さんと一緒にいると、あの時の「助けてもらえなかった」ということが思い出されるそうで。すると、「夫はひどい人だ!」と怒りがメラメラと湧き上がってくる。


だから、彼女のほうから距離を取り始めたのです。家庭内別居を始めたのは彼女の方からでした。


「興味がない」と言う彼女の言動や無関心を装うといったふるまいの下には、彼女の怒りが隠れていたようです。


このように怒りを隠すために、物理的な距離を置くか、あるいは無関心を装って心の距離を置こうとすること。これは直接怒りを表現するよりも、多い対処法だったりします。



怒りの少し下の気持ち

彼女たち夫婦はそれまでもコミュニケーションがあまりない夫婦でした。 


何か問題が起きた時には、自分の解決策で対処するか、旦那さんの解決策を採用するか。そんな2人。


すると、夫婦2人で何かを話し合って決めていくとか、お互いに何を感じているのかなどは全く話してはこなかったようでした。


だから、あの時なぜ旦那さんがあんな冷たい事を彼女に言ったのかその理由を、彼女は聞いてはいません。


それゆえに、彼女は「夫が私を助けてくれないのは、私が夫に愛されてないからだ」と思い込んだようでした。


「私のせいで私は愛されない」


コミュニケーションが少し苦手な方や、人と接するのがちょっと怖いと感じる人は、こんなふうに何が辛い出来事が起こった時に、原因を自分に求めることが多くあります。


相手に確認もせずに!


自分のせいだって思うことで、もともと持っていた自己嫌悪の感覚とマッチして、「やっぱり私は愛されないじゃんね」と自己一致して落ち着くのです。


人は見ている世界と自分の内面が一致すると、それがどんなにひどい感覚だったとしても、心は落ち着くので、そのひどい案を採用するきらいがあります。


彼女が旦那さんに近づかないのは、「あなたはひどい人だ!」という怒りが湧いてくるからでしたが、そんな心の下には「私が夫に愛されてないから」という彼女の切ない気持ちが隠れていました。


うん、それはめちゃくちゃ切ない気持ちだよね。

自己嫌悪に触れるような気持ちはズキズキと痛むから、そんな気持ちを教えてくれてありがとうね。


本当に愛されていないのだろうか

でも、本当にそうかな?本当に愛されてないと思う?


家庭内別居はあなたからはじめたわけだけど、あなたが旦那さんと急に距離をおいた理由を、旦那さんは知っているのかな。


もしかして、「愛されてないから!」って自分で思い込んで、家庭内別居を始めてないかな。旦那さんから見たら、あなたは急に自分を無視し出した妻になっていないかな?


それでも、勝手に無視し始めたあなたのことも受け入れて、それでも一緒に住んでいる旦那さんって、なんなんだろうね。娘さんが巣立った後も、変わらずお給料も今まで通りお家にいれてくれているのでしょう?それは、あなたへの愛なんじゃないのかな、なんて私は思ってしまうけどね。


あなたを責めてるわけじゃなくてさ。


「愛されてない」ってことがもしかしたら誤解だったかもしれないってことなんだよね。


そして、今あなたが感じているのは「愛されていたかもしれないのに、自分からは愛さなかったという罪悪感」だと思う。


だとしたら、あなたも本当は旦那さんを愛したかったって思いがあるってことなんだけど。



彼女はとても面倒見の良い人です。何かの集まりの時にはいつもお菓子を焼いてきてくれたりして、みんなを喜ばせてくれます。


そして、娘さんをとても愛している姿も知っていました。


本来の彼女は、自分から誰かを愛したい人だということを知っていたのです。


だとすると、彼女は一番愛したいと思っているのは旦那さんなのではないかな、そんなことを思いました。


子供が巣立つと、先延ばしにしていた夫婦の課題が出てくるっていうというのは、実はよく聞く話しです。


やっと旦那さんとNさんが向き合う時がやってきたのかもしれない、そんなことを思いました。



気持ちを伝えるというコミュニケーション

それでもNさんが気になってしまうのは、旦那さんかどうしてあんな冷たいことを言ったのか、ということのようでした。


それがネックになって、旦那さんに今更話しかけられないというのです。


じゃあ、聞いてみればいいと思うよ。


Nさん夫妻に足りないのは、コミュニケーション。


あの時、Nさんが旦那さんに「どうしてそんなことを言うの?」と聞けていたら。きっと旦那さんにはそのように答えた理由があったはずです。その理由を言えていたら。そしてNさんが「そう言われると悲しい」と自分の気持ちを分かち合えていたら。


二人の間に、気持ちを伝えるコミュニケーションがあったならば、今とは違うことになっていたのではないか、なんて思います。


今からでも、全然遅くないからやってみたらどうだろう。


コミュニケーションによって、共通の感情が見つかると、人と人は繋がることができます。

そして相手が何を感じていたのか、ということがわかると、相手に親密感を持つことができるのです。


あの時、何を感じていたらああ言ったのか、それを相手を責めることなしに聞けたら、きっと旦那さんの冷たいと感じた態度のわけを理解できると思うよ。


そして、あの時、旦那さんの言葉を聞いて「悲しい気持ちになった」「愛されてないと感じてしまった」というあなたの気持ちが分かち合えたら、きっと旦那さんと繋がることができると思うよ。



彼女はゴルフが趣味です。ゴルフは旦那さんがきっかけで始めたものでした。旦那さんに連れて行かれてからゴルフにハマったそうです。けれどもこの4年は一緒には出かけていないそうです。


私も彼女から誘われたけど、ゴルフは全くやったことがないので…


もしかして、彼女が一番一緒にゴルフに行きたかったのは旦那さんなのではないかな、と思いました。


来年には夫婦二人でゴルフに行けるくらいに仲良しになっていたらいいね、と言うと、「まぁそうね」とのことでした。
 

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